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2026.09.23技術解説

AGVとAMRの違い。どちらを選ぶべきか

結論から書きます。違いは「走る経路をだれが決めるか」です。AGVはあらかじめ決められた経路を走り、AMRは自分で経路を判断して走ります。

ただし、これだけでは導入の判断はできません。いまの搬送ロボットは1台で複数の誘導方式に対応するものが多く、「AGVを買うかAMRを買うか」ではなく「どの誘導方式で運用するか」という選択に近くなっています。

この記事では、両者の違いを整理したうえで、実際に現場で見るべき条件まで踏み込みます。

違いは「経路をだれが決めるか」

AGV(Automatic Guided Vehicle/自動搬送ロボット)は、床に貼った磁気テープや、床面に配置したQRコードなど、あらかじめ用意された目印に沿って走ります。通る道が決まっているため、動きが安定し、制御もシンプルです。

AMR(Autonomous Mobile Robot/自律走行搬送ロボット)は、レーザーやカメラで周囲の環境を読み取って地図を作り、現在地を把握しながら自分で経路を決めます。障害物や混雑を検知すると、回避するルートを選び直します。

比較する点AGVAMR
経路の決め方敷設した目印に沿って走る環境を読み取り自分で決める
床面への工事磁気テープやQRの敷設が必要原則不要(環境の地図を作る)
レイアウト変更目印の貼り直しが発生する地図の作り直しで対応できる
障害物への対応停止して待つのが基本回避ルートを選び直せる
動きの安定性経路が固定されるため読みやすい状況により経路が変わる
向いている流れ同じ動線を繰り返す定型搬送行き先や経路が変わる搬送
どちらが優れている、という話ではありません。経路が決まっている現場でAMRを使っても、自分で判断する機能を使い切れません。逆に、人や什器の位置が日々変わる現場でAGVを使うと、停止して待つ時間が増えます。現場の動き方に合うほうを選ぶ、という判断になります。

実際の選択は「誘導方式」で決まります

ここが、カタログを並べて比べるときに分かりにくくなるところです。いまの搬送ロボットは、1台で複数の誘導方式に対応しているものが少なくありません。同じ機体でも、どの方式で運用するかによってAGVらしくもAMRらしくも動きます。

当社が扱うBSMRシリーズも、誘導方式としてQR・VSLAM・LSLAMに対応しています。つまり「AGVかAMRか」を先に決めるのではなく、現場の条件に合う誘導方式を選んだ結果として、どちらの性格で動かすかが決まります。

誘導方式位置の取り方床面の準備得意な条件
磁気テープ床のテープを追うテープの敷設が必要経路が固定で、変更の予定がない
QRコード床のQRを読んで位置を確定QRの貼付が必要高い位置精度で繰り返し停止したい
VSLAM
(カメラ)
カメラで見た景色から地図を作る原則不要目印になる形や模様がある環境
LSLAM
(レーザー)
レーザーで測った形状から地図を作る原則不要棚や壁など形状の手がかりがある環境

SLAM方式は床の工事が要らない反面、周囲の環境が変わると地図と実際がずれます。たとえば、季節ごとに棚の配置を大きく入れ替える倉庫では、地図の更新をどう運用に組み込むかまで含めて設計します。逆にQR方式は目印の敷設が必要ですが、同じ場所に高い精度で繰り返し停止する用途に向きます。

搬送ロボットの実機

カタログで見落とされやすい3つの数字

可搬重量と走行速度は誰でも確認します。導入後につまずくのは、たいていそれ以外の数字です。

1. 最小通行幅と回転直径

ロボットが通れるかどうかは、本体の外形寸法ではなく通行に必要な幅で決まります。さらに、行き止まりで向きを変える場所があるなら回転直径も要ります。

項目BSMR-L600BSMR-L1000
定格荷重600kg1000kg
外形寸法L950 × W650 × H250mmL1150 × W800 × H255mm
最小通行幅1650mm1820mm
回転直径995mm1200mm
最大走行速度2.5m/s2.3m/s

本体幅650mmの機体でも、通行には1650mmを見ます。現状の通路幅を実測し、パレットや台車がはみ出している箇所がないかまで確認してください。荷物の仮置きで通路が狭くなっている現場は珍しくありません。

2. 稼働時間と充電の組み込み方

BSMRシリーズの稼働時間は8時間、バッテリーはリン酸鉄リチウムイオンです。ここで考えるべきは「8時間もつかどうか」ではなく、充電の時間と場所を、稼働計画のどこに入れるかです。

2交替で動かすなら、休憩時間に充電を挟むのか、バッテリーを積んだまま継ぎ足すのか、充電ステーションを何台ぶん置くのか。この設計を後回しにすると、台数を増やしても稼働率が上がりません。

3. 停止精度

BSMRシリーズはナビゲーション位置精度・走行停止精度ともに±10mmです。棚の下に潜り込んでリフトアップする方式では、この停止精度がそのまま受け渡しの確実さになります。コンベヤや他の設備と接続する場合は、相手側が許容するずれの範囲と突き合わせて確認します。

現場の条件から決める

機種の比較表からではなく、現場の条件から入ると判断が早くなります。

AGV寄りの運用が向く現場

AMR寄りの運用が向く現場

両方にまたがる場合。実際には「主経路は決まっているが、端の区画だけ日によって変わる」といった現場が多くあります。複数の誘導方式に対応した機体であれば、区画ごとに方式を分けて運用することも検討できます。この場合は機器の選定より先に、どの区画をどの方式で動かすかという動線の設計が判断の中心になります。

では、どこから確かめるか

次の順序で見ていくと、必要な情報がそろいます。

1. 運ぶものを決める

ケース・トートか、棚ごとか、パレットか。重量は最大でどれくらいか。ここで必要な定格荷重と、機体の方式(低床の潜り込み型か、それ以外か)が絞られます。

2. 通路を実測する

図面上の通路幅ではなく、いまの現場の実寸です。仮置きの荷物、はみ出した什器、柱の位置まで含めて測ります。ここで機体のサイズが決まります。

3. 変わるものと変わらないものを分ける

1年を通して固定の動線はどこか、変わるのはどこか。これが誘導方式の判断材料になります。

4. 稼働計画に充電を入れる

何時から何時まで、どれだけ運ぶのか。そこに充電をどう挟むか。台数の見積もりはここで決まります。

カタログではわからないこと。走行音、実際の加減速、人がそばを通ったときの止まり方、荷物を持ち上げるときの挙動。これらは仕様表には出てきませんが、現場に入れてから「思っていたのと違う」となりやすい部分です。候補が絞れた段階で、実機の動きを見ておくことをおすすめします。
実機の動きを、千葉・習志野でご覧いただけます

TOYOROBOのFusion Stride Spaceでは、AGV・AMRをはじめとする搬送ロボットが実際に稼働しています。速度・走行音・止まり方といった、カタログや動画ではわからない部分をその場で確認できます。ご希望の機器を指定してのご見学も承ります。現場の通路幅や搬送物の条件をお持ちいただければ、その場で構成のご相談もできます。

本記事に記載した機器の仕様値は 2026.09.23 時点の当社製品ページの掲載内容です。仕様は製品改良のため予告なく変更される場合があります。

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